機密文書のリサイクルの現状│リサイクルサービス業者の選び方も解説

株式会社WELL(ウェル) 営業部

会社で定期的に出る大量の機密文書や紙。その処理方法に困っていませんか。

定期的に機密文書を処分しているところが大半だと思いますが、中には当初はそんなに紙の文書が多くなく、適宜自分で処分や保管を行っていたものの、だんだんと量が増えていき、いざ処分しようと思ったときには自分たちの力では難しく、まとめて処分したいとご相談されるパターンがありました。

紙の処理方法として環境にも配慮しリサイクルできないか検討したい、紙資源のリサイクルに力を入れている企業に処理をお願いしたいと考えているところも多いと思います。
今回はその中の一つ、カーボンニュートラルの観点から、昨今のCO2削減に向けた動向やリサイクルができる機密文書サービスについて紹介します。

 

紙リサイクル×CO2削減の動向は

環境問題に対する持続可能な取り組みは、国内だけでなく世界中で加速しています。
特に、企業にとっては「当たり前に取り組むべきこと」と認識されつつあり、会社のイメージ向上に加え、企業価値を高めるための要素となっているといっても過言ではありません。
環境問題の中でも紙リサイクルについてはどうでしょうか。世界と比較すると日本は遅れていると捉えられがちですが、日本でもCO2削減に向けた取り組みはゆるやかですが、進んでいます。

CO2の削減に向けての取り組みについて、2050年カーボンニュートラルや2030年度の野心的な温室効果ガス削減目標に向けた具体的な政策が2021年10月に示されました。この閣議決定を受けて、企業や自治体もカーボンニュートラル移行に向けた戦略がより具体化しています。

 

機密文書リサイクルの現状                         

日本の古紙回収率は世界の他の国々に比べてどうなのでしょうか。
経済産業省「紙・パルプ統計年報」、「紙・印刷・プラスチック・ゴム製品統計年報」によりますと、
日本の2021年の古紙回収率は81.1%で60%台のアメリカと比べても高い水準に達しています。1970年当初の古紙回収率は40%弱でしたが、ごみを減らすための施策や新聞の集団回収、各市町村の資源回収の拡大などを経て、現在の回収率になっています。

会社などの事業所から出る紙のリサイクルについては、15年くらい前からペーパレス化という言葉が登場し、徐々に取り組みが活発になりました。
以前であれば、会議資料を全員分コピーして机の上にセッティングしておく光景はよくありましたが、今では各自データをダウンロードするという形に移行してきました。このペーパーレス化はコロナ禍でリモート会議が増えたため、紙に印刷した会議資料は物理的に渡せなくなり、データ化か進んだことも影響しているでしょう。

書類の種類によって対応も変わってきます。「機密文書」と呼ばれる社外秘の資料や個人情報などは、第三者の目に触れることの無いように情報保護の観点から適切な廃棄をする必要があります。
機密文書については社内でシュレッダーにかけているという企業も多いのではないでしょうか。

しかし、シュレッダーにかけられた書類はリサイクルされているのかどうか、を聞かれたら答えは「NO」です。実はシュレッダー処理された紙については、紙の繊維を壊してしまうことから一般的にリサイクルしづらい紙といわれています。
シュレッダー紙ごみは、自治体のシュレッダー回収へ出すというのが一般的な廃棄法となっていますが、
多くの自治体は焼却処分しているのが現実です。

シュレッダーで処理された紙は、機密文書が読めないほど細かく裁断されるため、セキュリティ面で安心です。しかし、裁断された紙片が非常に小さいため、繊維も短くなり、再生紙に強度が出にくいという欠点があります。
シュレッダー処理された紙も一部は再利用されていますが、全てをリサイクルにできるシステムは今のところは難しいかもしれません。

 

ペーパーレス化のメリット

企業が行う持続可能な取り組みの具体的な内容として、以前から「節電」「ごみの減量」「紙の削減」などが挙げられています。
この中でも「紙削減」につながる「ペーパーレス化」は資料のデジタル化や業務効率化という目的にも合致し、注目を浴びています。

ペーパーレス化がどれくらい環境に影響を与えるかご存知でしょうか。
1kgあたりの可燃ゴミを燃やしたCO2排出基準値は0.34とされています。例えば、会社のオフィスでよく使われるA4サイズの普通紙を1万枚(40kg/1枚4g)焼却した場合、13.6kgのCO2が排出されます。

つまり、1万枚の紙を削減できれば、CO2排出量を13.6kg減らすことができるというわけです。
(【CO2排出量の目安】=【紙の重さ】×【CO2排出基準値:0.34】)

ペーパーレス化は、紙を製造する際のCO2排出量を削減でき、同時に森林保護にもつながるため、決して無駄なことではないでしょう。
ペーパーレスはパソコンなどのデジタルデバイスに必要な資料を保存できるため、書庫に行って資料を探す手間が省けます。また、各業務の判断までの時間を短縮することも可能です。
デジタルデバイスで稟議書を確認できるようになると、どこにいても確認ができるので判断までの時間を短縮できます。さらに契約のプロセスも簡素化できる可能性もあります。
しかし、まだ紙で保存しておかなくてはいけない機密書類も多く存在しますし、会社の中でも経理部門は紙で保管しておく書類が多い部署なので、部署ごとにペーパーレス化の進み具合にもバラつきがあることは否めません。

今後もペーパーレス化は進んでいくと思われますが、100%データに移行することはなく、紙を減らしながらデータとの共存をどこに落としどころを付けていくか、企業の判断するところだと思います。

 

WELLの機密文書リサイクル・SDGsに向けた取り組み

WELLは2001年、丸紅ペーパーリサイクル株式会社(※)と親会社である株式会社國光とが合弁した会社です。2021年3月に丸紅ペーパーリサイクルとの合弁を解消し、國光の100%子会社となりました。親会社が長年「資源循環型社会形成の推進」に取り組んできたこともあり、リサイクル事業を通じてゼロ・エミッションを目指すことで、SDGsとサーキュラーエコノミーの実現に貢献しています。
※2024年4月から丸紅フォレストリンクス株式会社に吸収合併

古紙の中でも、特にWELLが強みとしているのは「機密書類」の分野です。
機密書類を安心して安全に処理するための技術を開発しました。環境保護の両立を目指したサービスと回収・処理の際のセキュリティレベルの高さから、メガバンクや大手商社をはじめたくさんのお客様からご依頼をいただいています。

また、情報漏えいのリスクを回避しながら、環境への負荷を軽減する取り組みを企業のSDGsの取り組みとしても紹介できるかどうかのご相談にも乗っています。
例えば、
会社でペーパーレス化に向けて社内でキャンペーンを企画する際、部署ごとに目標値をどのように設定したらいいのか、特典として再生紙を使ったノベルティを出したいがどんなものがいいのかなどの相談が過去にありました。
古紙を使ったペーパータオルなどの商品(ノベルティ)を作っている企業とも取引があるので、ご紹介が可能です。

こうしたキャンペーンは社内の啓蒙活動だけでなく、社外にもアピールできます。私たちも古紙の利用が促進されたらいいなと考えているので、古紙に関することなら些細なことでもご相談ください。

 

機密文書リサイクルのセキュリティ課題

機密文書のリサイクルに関しては、セキュリティ面での課題が常に存在します。
機密書類は回収→積み込み→荷下ろしの過程で情報が漏えいするリスクをいかに考慮するかが重要です。 リサイクル業者が適切なセキュリティ対策を行っていない、回収した機密文書がリサイクルされる際に、元の情報が残らないかも確認が必要です。

機密文書を外部に漏らすことなく処理するためには、3つの方法があります。
1つは、シュレッダー処理です。
社内で使わなくなった機密文書を処理するにはシュレッダーを使うのが一般的でしょう。しかし、シュレッダーにかけた時点で文書は読めない状態になりますが、手当たり次第に書類をシュレッダーで処理しているだけでは、情報漏えいが防げるのか疑問が残ります。書類をどう管理するかが重要となります。

また、機密文書リサイクルの現状のところでも触れましたが、焼却処分をされていることも少なくないので、環境にはよくありません。シュレッダー処理は機械の購入やメンテナンスにも費用がかかります。紙や機密文書の処理のコストをかけて環境にマイナスのことをしていることになります。

2つ目は破砕処理です。
委託された専門業者が、大型の破砕機を用いて大量の機密書類を細かく裁断していきます。裁断された紙片は、情報が読めない大きさになるため、情報の抹消処理は完了となります。それらの紙片は製紙メーカーで、ティッシュやトイレットペーパー、段ボール原紙等にリサイクルされます。
WELLで採用している破砕機(一軸破砕機)は比較的異物に強いので、箱詰めされた機密書類を未開封無選別で処理します。また、ホチキスやチューブ式ファイルなどの金属の部品が付いた書類ファイル等もそのまま破砕できるので、
分別の手間も減らすことが出来ます。

3つ目は溶解処理です。
業者によってはチューブ式ファイルやホチキスなどを外さなくても処理できるため、書類が大量でも処分作業に時間をとられることはありません。その際、専用の設備での処理になるので、専門業者に処分作業を委託することになります。そのため、書類の輸送の過程で情報漏えいがないか、信頼性やセキュリティ対策をどこまでしているか、慎重に確認する必要があります。

一方で、機密書類を専門の業者が回収する前の段階でもセキュリティ対策が必要です。
万が一、機密文書が社外に漏えいした場合、さまざまな障害を引き起こす可能性があることも留意しておかなくてはなりません。
実際に、内部情報を紙媒体などを使って外部に不正に持ち出すという事例は後を絶ちません。2014年の教育業界で顧客情報を漏えいする事件をきっかけに情報漏えいに対する法律や規制は厳しくなりました。

データについては、情報の取り出したタイミングやファイルを開いた履歴が残るなどの対策があります。しかし、紙媒体の場合、印刷した履歴は残りますが、どのデータを印刷したかは不明。
さらに印刷した文書をどうやって保管・処分したのかまでは追うことができません。機密文書の流出を防ぐには管理・保管と社員に対してセキュリティ教育の徹底が必要になってくることも念頭に置いておきましょう。  

 

機密文書リサイクルサービスを選ぶ際の注意点

機密文書のリサイクルを外部業者に委託する際は、処理方法や輸送方法についても詳細を確認し、信頼できるリサイクルプロセスを踏んでいる業者を選ぶといいでしょう。
実際に利用した企業からもヒアリングできたら参考になるかもしれません。

紙から情報を抜き取られないためには、機密書類を回収から処分施設まで移動の間、人の手に触れる場面を最小限に抑えられるかどうかが、情報漏えいを防ぐ上で重要になってきます。

また、処理工程の中で外部業者に委託していないか、という点も確認してください。古紙処分業者の中には、一連のサービスを一社で完結せず、下請け業者に委託しているケースがあります。
機密文書を処分するまでにいくつもの業者が関わると情報漏えいの危険性が高まります。もし情報漏えいが起こった場合、責任の所在が不明瞭で、補償の交渉も難航する恐れがあるので注意してください。

他にも破砕処理した際のサンプルを見せてもらえるか、処理証明書や機密抹消証明書などの書類に機密書類の処理方法、数量、日付が明記されているかどうか、処理工場の見学が可能かも事前に質問してみましょう。了解してくれない業者は考え直した方がいいかもしれません。

以上を踏まえて、外部に委託せず一社で完結しているサービスを提供している業者を選ぶのが安心といえます。

WELLの機密書類回収・処理事業は、段ボール箱での回収は未開封のまま処理。従業員による分別作業も行なわないため、情報漏えいリスクを最小限に抑えています。
破砕処理の段階で、未開封の回収ボックスをそのまま細かく裁断して情報を抹消するので、安全かつ迅速な機密処理を可能です。破砕処理後、製紙メーカーへ直行し、段ボール箱を開封することなく溶解処理を行っています。処理後の紙繊維は、再生商品(段ボール、お菓子の箱、トイレットペーパーなど)に生まれ変わります。

まとめ

令和の時代、企業が機密文書を処理するときには、環境への配慮とセキュリティの確保が求められています。さらに、社内でペーパーレス化を推進することで、業務効率の向上やコスト削減が期待できます。

ペーパーレス化の中でも紙で保管してなくはならない機密文書の処理を業者に頼みたいときは、セキュリティ対策がしっかりしているかどうか、信頼性の高い業者であることがポイントです。
これからの企業は、サスティナビリティと情報セキュリティの両立を図って、持続可能な未来に向けた取り組みを進めていくことが課題となっています。

株式会社WELL(ウェル) 営業部

ビジネスの中で廃棄される機密書類や、不要になった古紙などを、迅速な回収、安全な再資源化を行なう機密書類処理のリーディングカンパニーの営業部です。